第36章 あなたが愚かではなく、男は皆卑しい

恍惚の中で、過去のことを思い出した。

藤原和也と結婚して半年ほど経った頃、生理が十日ほど遅れていた。毎回彼はちゃんとコンドームをつけていたけれど、それでも私は自分が妊娠しているのではないかと密かに想像していた。

妊娠検査薬を買った時には、すでに彼に妊娠の知らせをどう伝えようかとワクワクしながら考えていたほどだ。

今、本当に妊娠して、たった一枚のドア隔てた場所にいる藤原和也のことを思うと。

少しの興奮も喜びも湧いてこない。

あるのは恐怖と緊張、そしてまた何が起こるかわからないという不安だけ。

最悪の結果は、この子を失うことだ。

そう考えただけで、背中に冷や汗が滲んだ。

わずか二...

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