第38章 私と彼は浮気しているように

この食事は、味もわからずに終わってしまうだろう。

家に戻ってからも、一晩中ぼんやりとした寝つきだった。眠っているようで、どこか覚醒しているような感覚。

翌日、私は昼まで寝ていて、起きても足取りがふらついている気がした。

冷蔵庫を開けて、自分で味噌汁と玉子焼きを作り、ご飯を一杯食べてようやく少し元気が出てきた。

コンサートは夜からだし、まだ時間はたっぷりある。ネガティブな気持ちに浸るよりは、思い切ってパソコンを開いて仕事に取りかかることにした。

いつものようにまずはSNSをチェック。

MSの公式アカウントの投稿を見て、思わず背筋が伸びた。

詳しく見ようとした矢先、中川桜から電話が...

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