第49章 私たちはいつもコンドームをつけていなかった

私の心が沈んだ。

彼と目を合わせる勇気もなく、先生が何かを口走ってしまうのではと恐れた。

そうなれば全てが終わってしまう。

私は先に口を開いた。「先生、彼は今日私に付き添ったわけではありません。別の女性の妊婦健診に付き添ったんです」

藤原和也は落ち着いた声で言った。「わざわざ彼女に付き添ったわけじゃない」

「でも実際に来たんでしょう?」

私はその経緯を詮索するつもりはなかった。

浮気現場を押さえた時のように、夫がなぜ他の女と関係を持ったのかなど気にしない。ただ裏切られたという事実だけが重要なのだ。

酒の勢いだったのか、計画的だったのか、本質的な違いなどあるのだろうか。

どん...

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