第10章

その場に立ち尽くし、私は床にできた謎の巨大な足跡をただ見つめていた。

床一面に広がったコーラが、一メートル半ほどの長さはあろうかという巨大な足跡を、くっきりと描き出している。その足跡は、ここにいる誰のものでもない。巨大な獣のようでありながら、どこか不気味な人型を帯びていた。

先ほど窓が開いたのは、ただの風のせいではなかったのだ。闇の鬼の仕業だった。奴は、もうこの部屋の中に入り込んでいる。私たちの、すぐそばに。ただ、その姿が見えないだけで。

「鬼はもう入ってきてる!」

私は大声で皆に警告した。

「足跡に注意して! 姿が見えない!」

川崎美奈は顔面蒼白になり、素早くそばにあ...

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