第12章

川崎美奈を支えながら、よろよろとトイレから這い出す。目に飛び込んできたのは、黒く焼け爛れた六一二号室の無残な姿だった。

爆発の衝撃は部屋の全てを破壊し尽くし、ベッドは歪んだ鉄骨を晒し、机も椅子も炭化した残骸へと変わり果てていた。窓ガラスは一枚残らず砕け散り、がらんどうになった窓枠から、冷たい夜風がひゅうひゅうと吹き荒れている。

部屋の隅では、荒木千夏がうずくまり、か細い息を繰り返していた。爆心地から離れていたおかげで即死こそ免れたようだが、その体の半分は酷い火傷を負い、皮膚は炭のように黒く変色している。弱々しいうめき声だけが、彼女がまだ生きていることを示していた。

そして、部屋...

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