第15章

「それに、佐藤家の陰陽術には弱点があるの」

川崎美奈の声が、静まり返った七一二号室に響き渡る。

「『月の鬼』が完全に降臨するためには、少なくとも三つの魂を贄として捧げる必要がある」

彼女は眼鏡を押し上げ、続けた。

「私は、佐藤家の『目』として、皆さんのそばに配置された。任務は、一族の運勢を阻む者を監視し、確実に排除すること」

私はその場に立ち尽くし、全身をわなわなと震わせた。目の前で起きている全てが、信じられない。私が最も信頼していた友人、いつも隣にいてくれた川崎美奈が、まさか、裏切り者だったなんて。

「ふざけないで! それで、明日香や私たちへの言い訳が立つとでも思ってるの...

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