第17章
血文字の刻まれた、あの黒い断掌印が、まるで命を宿したかのように荒木千夏へと飛んでいくのを、私はただ見つめていた。ぞっとするような恐怖が、冷たい潮のように足元から這い上がってくる。私は必死にその印を掴むと、床に二本の黒い跡を引きずりながら、印と共に前へと引きずられていった。
『杏子! 手を放して!』
柳沢明日香の声が、私の脳内に直接響く。
でも、放すわけにはいかない。これは、私たちに残された唯一の武器なのだ。もしこれが荒木千夏の手に渡れば、取り返しのつかないことになる。
その状況を見た川崎美奈が、祓魂刀を私に向かって容赦なく振り下ろした。刀身が空気を切り裂き、ひゅう、と耳障りな...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章

12. 第12章

13. 第13章

14. 第14章

15. 第15章

16. 第16章

17. 第17章

18. 第18章

19. 第19章

20. 第20章

21. 第21章

22. 第22章

23. 第23章


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