第20章
私は、彼女をきつく、きつく抱きしめた。止めどなく流れ落ちる涙が、彼女の薄い肩を濡らす。
柳沢明日香の体は羽のように軽く、ほとんど透き通りかけているというのに、その温もりだけは、あまりにもリアルだった。
「本当のことを、全部教えて」
私は彼女の体を離し、その瞳をまっすぐに見つめた。
「高野陰陽師は一体、あなたに何を教えたの? 『時の川』って、何?」
明日香の眼差しが、すっと深くなる。彼女は静かに頷くと、私を再び、彼女の記憶の奥深くへと誘った。
目の前の光景が陽炎のように移り変わり、私たちは古い神社の中にいた。桜の花びらがはらはらと舞い散る中、高野と名乗る陰陽師が伝統的な装...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章

12. 第12章

13. 第13章

14. 第14章

15. 第15章

16. 第16章

17. 第17章

18. 第18章

19. 第19章

20. 第20章

21. 第21章

22. 第22章

23. 第23章


縮小

拡大