第6章

月の鬼が、ルールを告げる声が辺りに響き渡った。

「五一二号室のゲームは至って簡単だ。順番に部屋へ入り、各自前に四歩進んでから出る。それだけでクリアとなる」

私は、目の前にある漆黒の扉を睨みつける。月の鬼は続けた。

「これは協力モードだ。一人以上が生還すればクリアとなり、全員が生き残る必要はない。参加者は六十秒以内に入る順番を決めること。さもなくば、システムがランダムで指定する」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、荒木千夏が即座に柳沢明日香を指差した。

「明日香を一番に行かせましょう!」

その声は、焦りと自己保身で満ちていた。

「彼女なら、きっと私たちに活路を見つけ...

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