第103章

目上の人間が待っている。

下の者が顔を出さないわけにはいかない。

篠崎アエミは彼の意図を理解していたが、従う気にはなれなかった。

彼女は再びソファに腰を下ろす。

「私は忙しいの。時間なんてないわ」

「駄目だ。絶対に来い」

病院にいる年長者たちの言葉を思い出し、榎田神也の顔色が曇る。彼はドスの利いた低い声で告げた。

「俺に手荒な真似をさせるな」

「あなた……」

篠崎アエミは眉を顰め、表情を氷のように凍てつかせる。

二人の視線がぶつかり合い、火花が散る。周囲の空気が数度下がったかのような冷気が漂った。

その時、ドアの外から祖母の声が響いた。

「二人とも、何をしているんだい...

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