第110章

幾度もの絶頂を迎え、疲労困憊の篠崎アエミは浴室へと運ばれ、またベッドへと戻された。

微かな朝の光。

全身に残る緋色の痕、そして鉛のように重い体。

昨晩の、まるで獲物を喰らう野獣のような男の姿が脳裏をよぎる。

彼女は頬を紅潮させ、悪態をついた。

「……最低」

簡単な身支度を済ませ、昼食の準備に取り掛かろうとした矢先、電話のベルが鳴った。

「今日、ちょうど沖田先生のお時間が空いたんだ。一緒に食事でもどうかな?」

沖田先生は博識な学者だ。

彼との会話は、いつも多くの学びを与えてくれる。

篠崎アエミは二つ返事で了承した。

待ち合わせは高級レストランだった。彼女が到着した時には、...

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