第111章

榎田神也は気怠げに身を横たえながらも、その双眸には灼熱のような光を宿し、忙しく立ち働く背中を瞬き一つせず見つめていた。

電話は鳴り止まず、息つく暇もない。

ようやく手が空いたのは、それから一時間後のことだった。

夜も更け、あたりは深い静寂に包まれている。彼は少し考え込んだ後、浴室へと足を運んだ。

ジャーッ、と水音が響く。

篠崎アエミはパソコンを閉じ、男のスーツケースに視線を落とすと、眉をひそめた。

「ちゃんとやり直す、か……」

もし鈴木芽衣さえいなければ、喜んでそうしただろう。

けれど……はあ。

スマートフォンの画面を点灯させる。そこには、かつてトレンド入りした榎田神也と鈴...

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