第125章

その冷徹な声は、不意に響き渡った。

仕立ての良いスーツを身に纏い、冷ややかな美貌を湛えた榎田神也が歩み寄ってくる。その表情は怒りを内包しながらも威厳に満ち、人を寄せ付けない鋭いオーラを放っていた。

だが、部屋の中の惨状を目にした瞬間、彼の瞳孔が猛烈に収縮する。幽玄なほどに冷たい瞳を向け、低く唸るような声を出した。

「……離せ!」

「はっ!」

入り口に立つその姿を認め、篠崎アエミは乾いた嘲笑を漏らした。

「わたしの携帯を!」

榎田神也の胸に鋭い痛みが走る。慌てて駆け寄ろうとするが、篠崎アエミは容赦のない冷声でそれを制した。

「そこに立って。近づかないで! 携帯をよこして。林田涼...

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