第139章

篠崎アエミはぎょっとして、一刻の猶予もないとばかりに慌てて車のドアを開け、彼を中へと引きずり込んだ。

「気でも狂ったの? 万が一、誰かに聞かれたらどうするつもり!」

 榎田神也は両手を広げてみせた。

「聞かれたって構わないだろ」

「あなたね……」

 篠崎アエミは呆れて白目を剥いた。

「実家に帰ってお祖父様たちと一緒に過ごすんじゃなかったの? どうしてここに来たわけ?」

「顔は出した。だからお前に会いに来たんだよ」

 篠崎アエミは眉を顰め、胸に不安が広がるのを感じた。

 会いに来た、という事実。

 お祖父様は寛大で慈愛に満ちた方だから、大目に見てくれるだろう。

 だが、他...

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