第64章

「ふっ」

最後の一言が、彼の機嫌を良くしたらしい。

榎田神也は鼻で笑うと、低い声で告げた。

「お前が無関係であることを祈るよ。さもなくば……」

ドガッ!

彼が蹴り飛ばした椅子は、無惨にも砕け散った。

梅原大樹はビクリと身を震わせ、生唾を飲み込む。

「め、滅相もございません! 私には婚約者がおりますので!」

尋問は、そこで終わった。

篠崎アエミは表情を曇らせ、榎田神也の説明を待っていた。

しばしの沈黙の後、電話が鳴る。榎田神也はスピーカーボタンを押した。

「榎田社長、各所の監視カメラが故障しておりまして……デリバリーの方も調査しましたが、不審な点は見当たりませんでした! ...

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