第67章

朝。

気怠げな日差しが、部屋に差し込んでいる。

篠崎アエミが目を開けると、そこには彫りの深い顎のラインがあった。

彼女はそっと手を伸ばし、空中で彼の輪郭をなぞる。

眠っている榎田神也には、往時の冷酷さはない。その瞳は固く閉ざされ、目覚めている時の、あの人を射抜くような深淵な光を隠していた。

眠っていると、まるで子供のように大人しく見える。

特に、その薄い唇が。

何か良い夢でも見ているのか、彼の口元に微かな笑みが浮かぶ。

男の長い睫毛がわずかに震えた。目が覚める。

篠崎アエミは反射的に目を閉じ、寝たふりをした。

次の瞬間、頭上から軽い笑い声が降ってきた。

「何寝たふりして...

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