第82章

「次回のテーマは『家族』です!」

 家族といえば、当然ながら父と母、そして子供の存在が欠かせない。

 今回は、親子コーデのファッションショーだ。

 ディレクターがテーマを発表した瞬間、その場にいた全員が困惑の色を浮かべた。

 彼らは皆、ファッションデザイナーである。メンズもレディースもこなせるが、子供服に関しては専門外もいいところだ。

 篠崎アエミは伏し目がちに、複雑な表情を浮かべていた。その胸中、何を思っているのかは誰にも分からない。

 隣に座る榎田神也は、キーボードに指を走らせ、メールの返信に追われているようだった。

 しかし、隣の重苦しい空気を感じ取ったのか、彼はわざとか...

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