第86章

しかし……

なんてことだ。

まるで暖簾に腕押しだ。

梅原大樹はまるで能天気な子供のように、何を尋ねても首を横に振るばかりだった。

「家のことは全部、婚約者が管理してくれてるんで! 俺は金を稼ぐだけでいいんっすよ!」

二人は数分間言葉を交わした。

だが、それは不毛な会話だった。何の情報も得られない。

篠崎アエミは頭痛を覚え、こめかみを指で押さえた。

すると梅原大樹が目を輝かせ、ポケットからハッカ油を取り出した。

「無憂姉さん、俺がマッサージしてあげますよ!」

この若者は、あまりにも情熱的すぎる。

篠崎アエミが断りの言葉を口にするよりも早く。

彼はすでにハッカ油の蓋を開け...

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