第89章

長い文章の下には、一本の録音データが添付されていた。

その録音の一部が切り取られ、再生される。そこにあるのは、この番組に参加している人間は「無憂」本人ではなく、ただの替え玉であるということを証明する数言のみ。

先日発見した、あの盗聴器のことを思い出す。

篠崎アエミは瞬時に事態を察した。すべての情報に目を通してから顔を上げ、安藤京子を真っ直ぐに見据える。

「馬鹿馬鹿しい。私が無憂ではないと誰が証明できるのです? それに、私が無憂でなければ、誰だと言うのですか」

「そうよ、デタラメもいい加減にして!」

林田涼子は、その場にいる全員を睨みつけた。

「よくもまあ、白々しい! 最初は番組...

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