第63章

普段は口数の少ない葉田知世が、これほどまでに饒舌に語るなど、平原遥子は一瞬にして恋の甘酸っぱい匂いを嗅ぎ取った。

「いつそんな風になったのよ?おかしいわよ」

彼女は事実をありのままに指摘した。

「そんなことないでしょ」葉田知世は少し気まずそうだ。

「知世みたいな人は、何かにのめり込むとすぐ自分の全てを投げ打ってしまうから。後先考えず、コストも度外視で」平原遥子の口調はぐっと真剣味を帯びた。彼女は藤原羽里の人となりを知らないが、葉田知世がいかに一途で偏執的かはよく理解している。

「あなたと藤原羽里が添い遂げられるならそれが一番いい。ただ、もし何かあったとしても、自分を傷つけるようなこ...

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