第75章

藤原羽里はウェイターに乾いたタオルを持ってこさせ、それを天空橋蘭に差し出した。

「拭けよ」彼はソファの背にもたれかかり、彼女を見ながら言った。

「羽里お兄さん、わたし、あの日葉田さんがピンクダイヤモンドをつけているのを見て、つい嫉妬してしまって……許してくれない?」天空橋蘭は藤原羽里がまだ自分を気にかけてくれているのを見て、心の中で喜び、急いでタオルを受け取りながら哀れを誘う表情を浮かべた。

「わたしたち、小さい頃から一緒に育って、羽里お兄さんは一番良いものをいつもわたしにくれたじゃない。それなのに、急に葉田さんに与えるから、わたし、一時の気の迷いで間違ったことをしてしまったの」そう言...

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