第77章

それから一週間、藤原羽里は二度と病院に姿を見せなかった。

彼は突然、異常なほど多忙となり、毎日十数時間を仕事に費やし、自らのスケジュールをぎっしりと埋め尽くした。

田中廉の観察によれば、おそらく奥様と喧嘩したのだろう。

大きな問題に巻き込まれて被害を受けるのは関係のない人たち。不運にも田中廉はそのとばっちりを受けた被害者だった。

毎日不機嫌な社長を前に、何をするにも細心の注意を払い、意思を忖度し損ねて年末のボーナスが水の泡になるのを恐れていた。

会社の役員たちが業務報告に来る時も、一人また一人と、入室時には意気揚々としていたのが、退室時には冷や汗だくだった。

「田村さんから、今日...

ログインして続きを読む