第78章

かれこれ二十分もキスを交わし、二人とも息を切らしてようやく離れたとき、葉田知世は自分の唇が藤原羽里に噛み破られてしまうのではないかと感じていた。

「俺の性格で、他の男に嫁ぐ女を抱いて一晩中泣き明かすなんて馬鹿な真似をすると思うか」藤原羽里は両手を葉田知世の腰に添え、ついに口を開いた。

葉田知世は少し間を置いて、彼が自分に弁解しているのだと気づいた。

彼女はどこか茫然とした様子で彼を見上げた。「でも、彼女が……」

「全部嘘だ」

「ああ、そう」それなら納得だ。そんな行動は藤原羽里のようなクールな俺様社長がするはずもない。「天空橋さんって、なかなかの語り部なのね」

「君こそ、いつもの聡...

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