第83章

葉田知世の鬱病がまた再発した。

彼女は慌てて抗うつ剤を一掴み飲み込み、服も脱がずにベッドに倒れ込んだ。

藤原羽里はそんな彼女を見つめ、心が引き裂かれるような、耐え難い痛みに襲われた。

「加藤瑛太と一緒に来い、急いでくれ」彼は眠りに落ちた葉田知世の服を清潔なものに着替えさせながら、田村健に電話をかけた。

「うつ病が再発したのか?」

田村健と平原青も一睡もしていなかった。その報せを聞くや否や、二人は急いで加藤瑛太に連絡を取り、共に藤原羽里の別荘へと駆けつけた。

「すまなかった」平原青はもはや自己弁護する気も失せていた。

葉田知世の言う通りだった。彼女は一度も彼を傷つけるようなことは...

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