第86章

昼になり、葉田知世は言葉通り藤原羽里のオフィスで食事をとることになった。

彼の「監視」の下、粥を半杯ほど飲み、あっさりとした味付けの料理を数口食べさせられたところで、葉田知世は食欲がないと言い張り、食卓から逃げ出した。

藤原羽里は自分のために注文したパスタを食べ終えると、極めて自然な動作で葉田知世の残した粥を手に取り、二、三口で平らげてしまった。

葉田知世はソファからその様子を見ていて、再び頬が熱くなるのを感じた。

藤原羽里の潔癖症は有名で、彼女の食べ残しを平然と口にするとは、意外だった。

オフィスは日当たりが良く、ソファの座り心地も快適で、葉田知世はほどなくしてうとうとし始めた。...

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