第91章

「説明は結構です。分かっていますから」木村拓也は彼女の言葉を遮った。

「そうだ、葉田さんにドレスを贈ろうと選んできたんです。気に入ってくれるといいのですが」そう言って、木村拓也は後ろに隠していた大きな紙袋を取り出した。

高級ブランドのロゴが、葉田知世の目を眩ませる。

葉田知世が袋の口から中を覗き込むと、そこにはダイヤが散りばめられたドレスがあった。ファッションショーで見たことがあり、たしか三千万円という値段がついていたはずだ。

「こんな高価なもの、いただけません」葉田知世は即座に断った。

「戻ったら試してみてください。きっと気に入りますよ」木村拓也はそう言うだけで、袋を葉田知世に手...

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