第92章

葉田知世が自分のオフィスに置いた高級ドレスを眺め、藤原羽里はどうにも目障りで仕方がなかった。

午後はそれほど忙しくなかったこともあり、彼は写真を撮って三人のグループチャットに送った。

「ロマンチックだな。高級ブランドのダイヤ付きドレスまで手に入れるなんて、葉田知世には随分と入れ込んでるじゃないか」田村健が感心したようにメッセージを送る。

「木村拓也が葉田知世に送った詫びの品だ」藤原羽里は不機嫌に返信した。

「え、それは……やりすぎじゃないか?息子が他人のドレスを汚したと思ってるなら、金を払って弁償するのが一番だろう。木村拓也ほどの身分と地位がある男が、わざわざ自分でドレスを選んで贈っ...

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