第108話

筋肉質の男の咆哮が激しさを増すにつれ、マルティナは自分の攻撃が急所を捉えたことを悟った。苦痛に顔を歪めた男の手から力が抜ける。その隙を逃さず、マルティナは再び個室のドアへと駆け寄り、力任せに扉を叩いた。

「誰かいないの!? 助けて!」

だが、男の執着心は凄まじかった。何が何でも彼女を屈服させようという欲望が、その瞳に燃え上がっていたのだ。あるいは、彼女の類稀なる美貌がそうさせたのかもしれない。男にとって、彼女はまさに手に入れるべき「至宝」として映っていたのだろう。

わずかな隙さえあれば、男がこの好機をやすやすと手放すはずもなかった。

今度は容赦がなかった。男は非情な力でマルティナの両腕を締...

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