第121話

今のベンジャミンの態度は実に卑屈だと言わざるを得ないが、それもすべては彼の自業自得だった。

もしあの時、マルティナが彼を深く愛していた頃、彼がもう少し応えていれば、二人はとっくに結婚して幸せに暮らしていたかもしれない。こんな結末を迎えるはずもなかったのだ。

今、マルティナに近づくために払っているあらゆる努力は、当然の報いというべきだろう。

最初から互いに歩み寄っていれば、事態がここまでこじれることはなかったはずだ。

ベンジャミンの指示を聞き、サイモンは諦めたように頷くと、黙って屋上レストランの位置情報を確認した。

現在、この地区にある屋上レストランは一軒だけなので、探すのは容易だった...

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