第128話

旅行ガイドについて、ベンジャミンに異論はなかった。彼は全神経をマルティナに集中させ、尋ねた。「他に何か提案はあるか?」

マルティナも目を通し、その内容が自分の考えていたものといくぶん似ていることに気づいた。彼女は少し驚いた。「サイモン、あなた本当にアシスタントとしての天賦の才があるわね」

サイモンはマルティナの言葉を褒め言葉として受け取り、答えた。「ありがとうございます、マルティネス様。これが私の務めですから」

マルティナの口元がわずかに引きつった。実のところ、そこが重要な点ではなかったのだ。彼女は今や、何と言えばいいのか分からなくなっていた。

彼女の視線がベンジャミンに落ち、旅行ガイ...

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