第152話

不安のせいだろうか、マルティナは手早くシャワーを済ませると、濡れた髪から雫を滴らせながらバスルームを出てきた。

ノートパソコンを操作していたベンジャミンの指がわずかに止まる。彼が振り返ると、そこには髪を拭いているマルティナの姿があった。

マルティナは努めて平静を装いながらベンジャミンの背後に立ち、尋ねた。

「何をしているの?」

ベンジャミンのパソコン画面には、会社の宣伝資料に関する要件と、いくつかの初期デザインの草案が表示されていた。

これまで聞いたことのない案件だったため、当然ながら彼女はあまり気に留めていなかったのだ。

だが、いざそれを目にすると、どうしても好奇心が湧いてくる。

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