第176話

マルティナはエイミーの動揺など意に介さない様子だった。「何をそんなに緊張しているの? ほんの冗談よ」

だが、そう言われても、エイミーはそのワインを口にする勇気が持てなかった。特に先ほどのマルティナの不審な行動を思い出すと、なおさら受け入れがたい。

まさか、マルティナは本当にワインに毒を入れたのだろうか? 彼女ならやりかねない、と否定しきれない自分がいる。何か裏があるのではないか?

考えれば考えるほど、エイミーの不安は募るばかりだ。マルティナに向ける視線さえも、次第に落ち着きを失っていく。どうすればいいの?

この状況で、どうすれば自分の体面を保ちつつ、マルティナを拒絶し、さらに何か仕組ま...

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