第188話

その場で怒りを爆発させず、冷静さを保っていたベンジャミンの忍耐力は、それだけでも称賛に値するものだった。彼の烈火のごとき気性を考えれば、理性が働いていなければ、とっくに行動を起こしていただろう。

実際、その通りだった。いつまで経っても電話を切ろうとしないマルティナを見て、ついにベンジャミンの堪忍袋の緒が切れたのだ。

彼はマルティナの手から強引に携帯電話を奪い取り、彼女に口を挟む隙すら与えなかった。

「やあ、ロドリゲスさん。ずいぶんとお暇なようですね。近頃、ある土地の件で頭を悩ませていると小耳に挟みましたが、何かお手伝いしましょうか?」

ベンジャミンの声には、どこか相手を揶揄うような響き...

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