第77話

「たぶん、物珍しさのせいよ。結局、これまで何があっても、あんなに長く彼の元を離れたことなんてなかったもの。あれほど支配欲の強い人が、黙って私を行かせるわけがないわ」マルティナはそう説明した。

エレナはそれを聞いて妙に納得し、思わず頷いてしまった。

「あなたの言う通りかもね。あいつは本当に最低よ。あなたがそばにいた時は大事にしなかったくせに」エレナは言った。「いざあなたが本気で離れようとすると、慌てて追いかけてくるんだから。男って本当に救いようのないバカね。惨めったらしく振る舞うのが好きなんだわ!」

話しながら何かが違うと感じたのか、エレナは頭をかいた。

何かに気づいたように、エレナの目...

ログインして続きを読む