123話

CEOのオフィスで、マルコムは書類に没頭していた。差し迫った契約交渉の準備をしていたのだ。

この契約を成立させることは、フリン・グループの今年の目標を達成することを意味し、年末には株主たちが多額のボーナスを手にすることになる。

そのとき、ジャスティンがさっと部屋に入ってきた。

「フリンさん、下では周年記念のお祝いが始まっていますよ。見に行かれませんか?」

マルコムは顔を上げることもなく、書類に集中したまま、その整った顔立ちには関心の色はほとんど見られなかった。

「毎年同じイベントじゃないか?」

ジャスティンの顔に意味ありげな笑みが広がった。「でも今年は違いますよ。リースさんが今夜パ...