39話

ダリアの視線はステージに釘付けになった。「ピアノの独奏が予定されてるんじゃない?彼女にしっかり出番を与えましょうよ」

彼女はリースを馬鹿にしたくてうずうずしていた。特にマルコムの前で。家に帰ったら、リースは覚悟しておいたほうがいい。

ナンシーも乗り気だった。「時間を無駄にしてられないわ、行きましょう」

二人は意気揚々とリースに近づいた。リースはスマホに夢中で、二人が近づいてくるのにも気づかなかった。

あの嫌味で皮肉な声が空気を切り裂くまで、彼女は顔を上げなかった。

ダリアはそこに立ち、リースを見下ろしながらにやりと笑った。

「あら、お金持ちと結婚した妹じゃない。マルコムは一緒じゃな...