51話

階下では、リースはマルコムの決断について何も知らなかった。

彼女にはまだ処理すべきことがあった。

エヴァリーとアリッサのうるさい説教を聞きたくなかったので、フリン爺さんに別れを告げて出て行った。だが会社へ向かう代わりに、彼女は郊外のアパートへ直行するタクシーに乗った。

そこには有名な医師が住んでおり、彼女が学生時代に知り合った先生だった。今は引退しているが、医学界ではいまだに尊敬される存在だった。今日、彼女がここに来たのは、彼から薬をもらうためだけだった。その薬は市場では手に入らず、入手が困難なものだった。この薬をマルコムの足に塗れば、完璧な仕上げになるだろう。

彼の足が治れば、彼女は...