57話

部屋の中には奇妙な空気が漂っていた。

マルコムが先ほどの出来事に動揺していることは容易に想像できた。

普段は誇り高く冷静なマルコムが嫉妬するなんて意外だった。先ほどの彼の憂鬱な顔を思い出すだけで、笑いたくなった。

リースは薬を手に持ってマルコムに近づいた。「まずこれを飲んで」

マルコムは軽く視線を向けた。「これは朝早くに取りに行った薬か?」

リースは率直に認めた。「ええ、この薬は手に入れるのが難しいけど、あなたの足にはとても効くわ。早く飲んで」

マルコムはそれを受け取り、黒っぽい色を見て思わず眉をひそめた。

「苦いのか?」

「さあ、飲んだらキャンディをあげるわ」リースは優しく話...