586話

リースはマルコムの不機嫌な顔と、何か秘密を隠すかのように固く結ばれた唇を一瞥して、思わず笑いそうになった。

こんなマルコムを見るのは珍しいことだった。本当に、何か言い出せないことがあるように見えた。

結局のところ、彼に何ができるというのだろう?「ねえ、みんな、リースを私と二人きりにしてよ」なんて大声で叫ぶわけにもいかない。

感情的になったカルビンが近づき、リースの手をきつく握った。「リース、冗談じゃなく、こんなに怖い思いをしたのは初めてだよ」

あのトンネルが崩れた時、彼は完全に凍りついて、頭が真っ白になっていた。

ルイスとライアンも同調した。

「俺たちもだよ。聞いた時は、本当に恐ろ...