610話

警備員は動揺した様子だった。「あ...あの、ターナーさん、どうかお助けください。もしこの仕事を失えば、妻と子供たちが大変な目に遭います」

ジェシーはため息をついた。「いいかい、世の中には自分ではどうしようもないことがあるんだ。誰もが二度目のチャンスをもらえるわけじゃない。だが、長い間勤めてくれたことを考えて、特別に一ヶ月分の給料を余分に出そう。二人ともにね。次の職場ではもっと気をつけるんだな」

そう言うと、ジェシーは中に入っていった。

二人の警備員はまだ衝撃を受けていた。たった数言葉を言っただけでクビになったのだ。

リースとカルビンはエレベーターに向かった。このビルには、彼女のためだけ...