第6章

三上海里視点

スマホの画面に表示されるニュース速報を、俺は睨みつけていた。ボトルを握ることさえままならないほど、指がひどく震えている。

「L市のIT大手、音楽教室に出現。西園寺テクノロジー社長の新たな恋が発覚か」

添えられた写真は、今日の午後に撮られた写真だ――西園寺律崎が受付で謙虚に申込書を記入し、その隣にはうっとりとした表情の受付嬢が立っている。

「謎の女性教師、深夜にIT界の寵児の邸宅へ。プライベートレッスンか」

こちらの写真はさらに悪質だ――結城凪紗がハンドバッグを手に、あの数千万はするであろう豪邸に向かっている。タイムスタンプは午後八時十五分を示していた。

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