第9章

その夜、西園寺律崎のプライベートマンションにて。

私はリビングのソファに座り、暖炉で暖かく揺れる炎を眺めながら、両手で温かい紅茶のカップを抱えていた。今日起こった全ての出来事の後、まるで生まれ変わったかのような気分だった。

「今日の件は完全に解決した。彼はもう二度と君を煩わせることはない」

西園寺律崎は私の隣に座り、優しく肩を撫でながら言った。

「本当に彼の会社を倒産させたの?」

私は小声で尋ねた。

「自業自得だ。私はいくつかの投資を引き上げただけだよ」

彼はまるで些細なことを話すかのように、落ち着いて答えた。

私はしばし黙り込んだ。心の中では、驚き、感謝、そし...

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