第7章

『太平洋物語』のプリプロダクションは、硝煙の上がらない戦争のようだった。私はオフィスに泊まり込む勢いで、キャスティングから台詞の一言一句、カメラのワンショットに至るまで、すべてを自ら監督した。

案の定、和也は最も悪質な反撃を仕掛けてきた。

残った人脈を使い、彼はすぐにチームを編成。『青空街』という対抗プロジェクトを発表し、私たちの作品と真っ向からぶつけてきたのだ。さらに悪いことに、私のアシスタントディレクターの一人だった大輔まで引き抜かれた。

メディアは「元恋人同士の戦争」と大げさに騒ぎ立て、本来なら純粋なプロ同士の競争であるべきものを、安っぽい昼ドラのように歪めてしまった。里奈...

ログインして続きを読む