第8章
放送文化賞の夜は、悟が自ら車で送ってくれた。
窓の外にはL市の夜の渋滞が広がり、遠くにはセレブタウンホテルの高層ビルが見える。今日、映像城のすべての注目は、あの場所に集まるのだ。
いつからか、私たちはあの雨の夜の話を始めていた。
「どうしてあの時、私に投資する価値があると確信できたんですか?」車窓の外を眺めながら、私は尋ねた。
悟はハンドルを握り、懐かしむような笑みを口元に浮かべた。「君の作品を見たことがあったから。そして、君が最も絶望していた瞬間も、この目で見ていたからだ」
あの冷たい雨の夜。
ずぶ濡れの無様な姿でバーに飛び込んだこと、隅の席で静かに私の言葉一言一句...
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