第102章

 人々がおばあさんの後ろ姿を見送ってから、それぞれ持ち場へ散っていった。

 まだ時刻は10時前。鈴木耕也は家の中に引きこもり、綿川恵美からゆすり取った金の使い道をあれこれと皮算用しては、いやらしく口元を歪めていた。

 これだけあれば、また贅沢三昧の日々に舞い戻れる。もう二度と、誰かに見下されたりしない。

 金、女、高級車――欲しいものは全部、手に入る。

 その傍らでは、亜規ちゃんが布団にくるまれて横たわっていた。ここ数日、泣いたり暴れたりはしていたが、自分が誘拐されているなど知る由もない。

 ただ、泣いてももう誰も抱き上げて優しくあやしてはくれず、眠るときですら、ぽつんと一人きりで...

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