第17章 佐藤花子が出所した

今回の面会は、藤原時夜に高橋家を見逃してもらうためではなく、時間的猶予をもらうためだった。

高橋玲がお金を工面する機会を得るために。

「お嬢様、私もお嬢様と一緒にお金を返しますから、ご心配なく」桜は手を伸ばして高橋玲の手を握り、自分が彼女と共にあることを示した。

鈴木弁護士も眼鏡をぐいと押し上げて言った。

「以前お母さんには大変お世話になりました。今度は恩返しの番です。困難があれば一緒に乗り越えましょう」

二人が必死に慰めてくれる様子に、高橋玲の心も大いに動かされた。

「ありがとう。でも大丈夫よ、私が貧乏人になるなんてことはないわ」

食卓の雰囲気が少し和らぎ、三人は食事を終えた...

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