第49章

彼らが反応する間もなく、高橋玲は続けた。

「緑川さんが私を責めているのは分かってます。昔の私は本当に愚かでした。会社を手放してしまうなんて。でも今は誓うわ、絶対に母の遺産を守り抜きます。佐藤の連中には一切手を触れさせません」

緑川雅子は彼女のこの言葉に呆然としていた。高橋玲が佐藤海に従順でなくなるなんて。

以前の高橋玲は、いつも父親の愛を求めていた。

だから母親が亡くなった後も、佐藤海を喜ばせるために、田中雪子と佐藤花子を受け入れた。

彼女たちに何でも従っていた。

でも今日、彼女の言葉は完全に自分と佐藤海たちとの境界線を引いていた。

緑川雅子の目にも希望の光が宿った。彼女は本当...

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