第115章

オリヴァー視点

僕はダイニングホールの裏にある小さな部屋に隠れて、キッチンからこっそり持ち出したお皿のケーキを慎重に食べていた。外から漂ってくる美味しそうな料理の匂いにごくりと唾を飲み込んだけど、僕は動かなかった。誰にも見つかるわけにはいかないからだ。もし見つかったら、僕がずっと嘘をついていたってママにバレてしまう。そしたらパパもおばあ様も怒るだろう。

外の声が急に大きくなった。耳を澄ますと、誰かが言い争っているみたいだった。そっとドアに近づいて、ほんの少しだけ隙間を開けてみた。

そこには、素敵なドレスを着てとても綺麗なママが立っていたけれど、その顔は真剣そのものだった。ママの向かいにい...

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