チャプター 3
オリバー視点
昨日、パパにまた「スターリング家の一員らしくない」って言われた。デザイン展で僕が描いた猫の絵が曲がってただけで、パパの顔はまるでインクをぶちまけられたみたいに真っ黒になったんだ。「オリバー、そんな子供じみた真似はもうやめなさい」って冷たく言って、僕のことなんて見向きもせずに歩き去っていった。僕の心は、こなごなに砕け散った。
その夜、土砂降りの中をこっそり家から抜け出した。ずぶ濡れになって、まるで迷子の子犬みたいだったけど、全然気にしなかった! やっとママを探すチャンスが来たんだ。僕が一番最初に見つけるんだって、確信してた。熱が出ちゃったけど、今までで一番幸せな熱だった。
おでこに当てられたママの手の感触は、世界中のどんな魔法よりもすごかった。ママは眉間にしわを寄せてすっごく心配しながら、僕に薬を飲ませて、濡れたタオルで体を冷やしてくれた。パパはそんなふうに僕たちの世話なんてしてくれない――ただ家政婦さんかナニーを呼ぶだけだ。ママのハグはふわふわの雲みたいで、体中がぽかぽかになった。
今、僕はアパートの中をゴムボールみたいに跳ね回ってる! 全部、ママの魔法みたいな看病のおかげだ! これがママがいるってことなんだ――世界中がカラフルな風船になって、行きたいところにどこへでも連れて行ってくれるみたいな感じ。ママのいないあの大きな家には、もう二度と帰りたくない。絶対に!
ママが朝ごはんのお皿を洗っている間、僕はキッチンのスツールにちょこんと座って、その一挙手一投足を目で追っていた。お揃いの三日月形のあざについて話してから、ママは物思いに沈んでいるようで、時々、戸惑いと驚きが混じったような目で僕を見ていた。
僕がママを見つけるためにどれだけ頑張ったか、ママは全然知らないんだ! ママがみんなに言われてたみたいに永遠にいなくなったわけじゃないって知ってから、二ヶ月もの間、僕は自分の持てる力を全部使って、シカゴ中から同じあざを持つ女性を探し続けていた。パパたちは何年も僕たち三人の子供に嘘をついていたんだ。パパが僕たちをママと一緒にいさせたくないのもわかってた。だから、自分でこっそり抜け出してママを見つける方法を考えなきゃならなかったんだ!
ママが寝室に消えて、着心地の良さそうなパジャマからグレーのビジネススーツに着替えて戻ってきたとき、僕の中のカラフルな風船が全部、音を立てて割れた。
「オリバー」ママは優しく言った。「今日はお仕事に行かなくちゃいけないの」
「行っちゃうの?」僕の声は思ったより小さく、悲しげな子猫みたいに聞こえた。やっと見つけたばかりなのに――ママに置いていかれたくなかった!
ママは僕の目線までかがんで、その瞳は優しいけど、毅然としていた。「ねえ、大事な仕事を終わらせなくちゃいけないの。それに、あなたの家族を探してあげないと」
「でも、僕がやっと見つけたのに」僕は抗議した。下唇が震え始めるのを感じた。今度は演技じゃない――長い間探し続けたママと離れ離れになることを考えただけで、胸が痛んだ。それに、パパに見つかるわけにはいかない!
こんなふうに愛されるってことがどんな感じなのか、僕は今まで本当には知らなかった。パパといるときは、いつもルールと沈黙ばかりで、僕はいつも自分が邪魔者みたいに感じていた。でもママといると、たった一度の優しいタッチ、一言の柔らかい言葉で、世界中がきらきら輝くんだ。この気持ちを手放したくなかった。
「辛いのはわかるわ」ママはそう言って、僕の耳にかかった髪を一筋、優しく直してくれた。「でも、家族にあなたの居場所を知らせないまま、ここにずっといるわけにはいかないのよ」
僕はママの首に腕を回して、ぎゅっとしがみついた。「お願い、行かないで! すっごくいい子にするから、指切りげんまん! もしママが帰ってこなかったらどうするの?」
彼女がためらうのを感じた。それから、その腕が僕を包み込む。「オリバー……」。ママは深くため息をつくと、僕から体を離して顔を覗き込んだ。その瞳に浮かぶ心配の色に、僕は罪悪感と希望の両方を感じた。
少し間を置いて、彼女はスマートフォンに手を伸ばした。「ちょっと、どうにかなるかやってみるわ」
彼女が電話をかけるのを、僕は注意深く聞いた。「はい、ライトさん、今日は少し個人的な用事を片付けたくて……。デザインの修正はリモートで完了させますので……」
電話を切ると、彼女は小さく微笑んだ。「今朝は家にいるわ。でも、数時間は寝室で仕事しなきゃいけないの。一人で大丈夫そう?」
「ネズミみたいに静かにしてるよ、ママ!」僕は安堵感に包まれながら約束した。「僕がここにいることさえ気づかないくらいにね!」
彼女がノートパソコンを持って寝室に消えていくと、僕は小さく勝利の笑みを浮かべた。しょんぼりした顔作戦は完璧に成功した。あとは、僕がどれだけ素晴らしい息子になれるかを見せるだけだ。
彼女と一緒にいる資格があるって証明する、絶好のチャンスなんだ!
彼女の部屋のドアがカチリと閉まった瞬間、僕は行動を開始した。手首のスマートウォッチをタップする。
画面をスワイプし、小さなマイクに共犯者のように囁きかけた。「こちらリトル・フォックス、エージェント・ハンター! 援護を頼む!」
ほとんど間を置かず、ボディガードであるハンターの声が時計のスピーカーから割れるように響いた。「なんてこった! オリバー坊ちゃま! やっと! どちらにいらっしゃるのですか? 旦那様がシカゴ中をひっくり返さんばかりに探しておられますよ!」
「しーっ、静かにして! 僕のことは心配しないで」。僕は手首を口元に寄せ、声を潜めた。「重要情報だ。ママを見つけた! 本物のママを! これより『完璧なランチ』作戦を開始する!」と謎めかして言った。「マルコスシェフに、彼の特製料理を作ってくれるよう頼める? でも待って!」僕は芝居がかって間を置いた。「普通のテイクアウト容器に入れてもらわないと。豪華なものだと正体がバレる!」
「しかし坊ちゃま、スターリング様は既に――」
「ハンター!」僕はできるだけ大人びた声を出そうと努めて、彼の言葉を遮った。「これは僕の秘密のミッションなんだ。超メガ重要なんだよ! 彼女は本当に僕のママなんだ! ただ、もっと一緒にいたいだけなんだ……」。ハンターがこれに弱いと知っていて、僕は声を和らげた。「お願い、パパには言わないで? ね、お願い?」
小さなスピーカー越しにハンターのため息が聞こえ、僕は勝ったと確信した。「承知しました。二時間後にお届けします」
「君が最高だよ!」僕はにやりと笑いながら囁き、素早く画面をタップして通話を切った。
二時間後、僕のスマートウォッチが暗号の振動――僕たちの秘密の合図――で震えた。ドアの覗き穴から外を見ると、配達員に変装したハンターが、野球帽を目深にかぶって立っていた。
僕は静かにドアから滑り出た。「三分遅刻だ」。腕時計を一瞥して、僕は囁いた。
「デイメン・アベニューが混んでいまして」。彼はそう答えながら、素晴らしい香りのする質素な茶色い紙袋を僕に手渡した。
「遅すぎはしない――まだ彼女は出てきてないから」。僕はほっとしながら囁いた。
ハンターを帰した後、僕は急いでグルメ料理――ハーブ鶏のロースト、クリーミーなマッシュポテト、新鮮な野菜――をママのシンプルな白いお皿に移し替えた。
僕がちょうどそれを終えたとき、ママの寝室のドアが開いた。
彼女は戸口で立ち止まり、綺麗に整えられたテーブル、折りたたまれたナプキン、そしてその全てのかたわらに誇らしげに立つ僕を見て、目を見開いた。
「オリバー……これ、全部あなたが?」
