チャプター 91

ダンテ・カステリ。

外の時間はあまりにも早く過ぎ去り、空はオレンジ色に染まって黄昏の訪れを告げていた。

潮風がまだ俺たちの頬を優しく撫で、波の音がその安らぎのひとときを揺り籠のように包み込んでいる――刑務所という現実からは、あまりにかけ離れた時間だ。

「もう中に戻らないと、あなた」

俺は彼の指に自分の指を絡ませた。

「何も食べてないしな」

彼は長く息を吐き出した。まるでその瞬間を永遠に繋ぎ止めようとするかのように。

「ここはすごくいい場所だ……」

彼の瞳には、どこか懐かしむような光が宿っていた。俺は微笑んで、彼の頬に優しくキスをした。

「もうすぐ、こんな場所からはおさらばでき...

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